韓国大手ローファームの「金・張法律事務所(Kim & Chang)」から「2020 韓国投資Q&A」をお送り頂きました。
本書は、Kim & Changが日本企業向けに作成、発行している日本語による韓国投資ガイドブックで、毎年、途切れることなくアップデートされています。例年は、4-5月ころに発行されていると記憶していますが、今年は新型コロナウィルスの影響か、9月の発行となりました。
私も、2007年1月から9月まで、Kim & Changの日本チームで勤務する貴重な機会を頂きましたが、その際、2007年度版のレビューをさせて頂いたことがありました。
帰阪後も、毎年、Kim & Changの韓国公認会計士の金堯大(キム・ヨデ)先生が、親切にご案内を下さり、本書をお送り頂いています。本書が毎年手元に届くたびにKim & Chang勤務時の思い出が懐かしく思い出されます。いつもありがとうございます。
(過去のバックナンバーです。2015年度分だけが何故か見当たりませんでした。)
本書では、韓国の外国人投資促進法、現地法人設立等の進出手続、不動産の取得・賃貸、商法・公正取引法等の企業法制、人事・労務・社会保険、会計・税務、金融、撤退など、幅広い分野にわたり、Q&A形式でわかりやすく解説されている上、毎年、情報が更新されているため、私の業務でもしばしば活用させて頂いています。
#企業法務 #渉外法務 #韓国法
業務上、当事務所には、韓国の法律書を所蔵しています。親族法・相続法の分野は、事件の当事者が韓国人の場合には、韓国法が適用されること(本国法主義といいます。)が多いので、親族法・相続法の分野を多く取り揃えるようにしています。
版がかなり古くなってしまい、海外配送サービスをしている韓国の教保文庫で、次の本を買い換えました。
(上の写真のうちハングルのものは、左から、申昌燮「第4版 国際私法」、宋徳洙「第3版 親族相続法」、尹眞秀「第3版 親族相続法講義」、朴東渉・梁慶承「第5版 親族相続法」)
新型コロナウィルス感染拡大の最中、日韓の航空便が大幅に減便しており、届くまでかなり時間がかかると思っていましたが、Fedexで、発送から4日で届きました。Fedexは、配送費もEMSより安いのに、配送のスピードが速く、感心した次第です。
#家族法 #親族 #相続 #渉外法務 #韓国
この詩集は、既に9年前(2010年)に出版されていたもので、私が読んだのは文庫版です。
奈良少年刑務所は1908年(明治41年)に竣工した煉瓦造りの美しい刑務所ですが、2016年度末で閉鎖されました。この建造物を活かすために、ホテルに変わるという話題が、マスコミでも取り上げられているところです。
その話題からだったと思いますが、この本が紹介されていて、私も読んでみる気になりました。
この詩集の編者は、寮美千子さんという作家の方で、たまたま奈良市に移住して奈良少年刑務所の矯正展を訪れたことをきっかけに、刑務所内の「社会性涵養プログラム」で「童話と詩」という全6回の授業を担当されました。
寮さんによる、「きっかけ」から始まる経験談の描写がすばらしいのです。
当初、受刑者の罪名(強盗・殺人・強姦等)を聞いて抱いた恐怖感も率直に書かれており、それが授業をする中で印象が変わっていく経緯、全6回の授業の中で「一度も耕されたことのない荒地」が「魔法にかかったように変わっていく」姿について、本当に具体的に目に浮かぶように描かれています。
受刑者の26歳までの少年たちが書いた詩も、胸を打ちます。自分のこと、被害者に対する気持ち、家族、特に母親に対する気持ち。思慕だったり、優しさに苦しんだことの告白だったり。
詩は、ここまで人の思いを映し出すものなのか、と思います。
そして、作成した少年はこれらを授業の中で朗読し、一緒に受講している仲間から拍手され、評価されて、ぐんぐんと自分に自信を付けていったと言います。
私たち弁護士は、被疑者・被告人となった人たちに「弁護人」として関わる経験を積んできましたので、罪名を聞いて別世界の人を見るように「怖い」と思うことはありません。でも、関わる経験がなければ、縁遠い存在でしかないのでしょう。
いずれ出所して帰ってくる人たちです。せめて地続きのところにいる同じ人間として、社会のたくさんの方々に理解してほしいと思っているのですが、この本は絶好の書だと思います。
520円(消費税別)で手軽ですので、ぜひ読んでみてください。
業務上、事務所に韓国の法律書を所蔵し、必要なときに参照しているのですが、書籍の版が古くなり、その間に法律も改正されたこともあって、次の5冊を新たに買いました。
(左から、宋德洙「第11版(革新版)新民法講義」、金俊鎬「民法講義 第24版」、申昌善・尹南順「第2版 新国際私法」、安春洙「国際私法」、金疇洙・金相瑢「親族・相続法 第14版」)
昔は、韓国の法律も、漢字とハングル混じりのものでした。しかし、現在は、漢字の部分の殆どがハングル化されており、法律書もハングルで書かれたものが殆どです。法律書がハングル化している事情について、数年前にある韓国の学者にお聞きしたところ、漢字・ハングル混じりだと、本が売れないので、出版社からハングルだけで出版してほしいという要請があるとのことでした。韓国の民法の大家である郭潤直教授が、出版社による全文ハングル化の要請に強く抵抗されておられたとのことでしたが、教授が高齢となり、お弟子さんと共著となった新版ではハングル化されているようでした。
(当事務所の書棚の一部です。背表紙も、漢字、ハングルのものがそれぞれ混ざるようになりました。)
法律書にせよ、別のジャンルにせよ、ハングルでないと書籍が売れないのは、韓国の国民が漢字を読めなくなりつつあるからです。韓国の中学校、高校では、漢文の授業はあるものの、それ以外の授業では、漢字を使う日本と異なり、漢字を使うことは殆ど無いようです。
ただ、韓国でも、法律用語の多くは、漢字をハングルに置き換えた漢字語です。ハングルは表音文字ですので、日本語で例えていうと、すべて「ひらがな」または「カタカナ」だけで本が書かれていることになります。そうすると、文字だけである程度の意味を推測できないので、法律の学習はいっそう難しくなります。昨年7月の日韓バーリーダーズ会議で、ある韓国の弁護士から、現在の韓国のロースクール生は、タブレットを置いて、逐一法律用語を調べながら勉強していると聞きました。
以前から、多くの韓国の弁護士から、韓国のロースクールの3年間で法律を学ぶのは大変厳しいというお話を聞いていましたが、ハングルだけで法律を勉強する難しさがあることも、その理由の一つではないかと思った次第です。
「相続戦争」(상속전쟁,주식회사 조서출판 길벗, 2015)を読了しました。
http://www.kyobobook.co.kr/product/detailViewKor.laf?mallGb=KOR&ejkGb=KOR&barcode=9791186659557
共著者のク・サンス先生(韓国公認会計士・税理士)は、相続専門の会計士として、法務法人地平(http://www.jipyong.com)の相続チームに所属されており、同じチームの韓国弁護士の先生方と一緒に私の事務所を訪問された際に、本書を私に下さりました。
ク先生、ありがとうございました。
本書は、韓国相続税・贈与税法の一般的な説明に加えて、具体的な77の事例を紹介することで、難しい相続税・贈与税制について一般人にも理解できるように腐心されています。
日本と韓国の法律は全般的によく似ていますが、相続税法は、日本が、各相続人が取得する財産に課税する「遺産取得税方式」であるのに対し、韓国が、被相続人の財産全体に課税する「遺産課税方式」である点で、根本的に異なります。
相続税の課税対象は、日本では「相続人」が居住者か非居住者かによって異なるのに対し、韓国では「被相続人」が居住者か非居住者かによって異なります。
生前贈与についても、韓国では、相続人に対する贈与は相続開始前10年の贈与財産が相続財産に合算されて課税される点で日本と違います。
その他にも、税率、控除、生前贈与の加算の範囲、除斥期間など、日本と韓国では税制が大きく異なっています。
そのため、相続人や相続財産が日韓両国にまたがっている場合の相続問題の解決は非常に複雑です。日韓両国にわたる国際相続の事案を扱うときは、国際相続を専門とする日韓両国の会計士・税理士と連携することが必須です。
以前に、在日コリアン弁護士協会(LAZAK)の学習会で国際相続を専門とする税理士の先生を何度かお招きして勉強する機会があったのですが、本書を読むことで大変良い復習の機会となりました。
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